ストックオプションの課税問題(17.01.26更新)
こんなレベルか最高裁?
  よもや給与所得と判断しようとは思っても見なかった。
”ストックオプション制度は、役員などへの精勤の動機付けとして設けられ、その利益は職務遂行の対価として給付されているので給与所得(読売新聞)
  「本人だけが行使でき、譲渡はできない」とした上で「会社が権利を与え、行使させて利益を得させたのだから会社からの給付に当たる」(東京新聞)
  「米国親会社がグループ企業の役員、従業員の精勤の動機付けを目指して設けた制度で、職務遂行への対価、経済的利益であることは明らかだ」(朝日新聞)
  なんともお粗末と思われる判断である。10の所得区分に分けられている理由は解しているのだろうか?
  給与所得の発生はその役務の提供場所である。つまり体で働いた場所である。
  いいかえれば国内源泉所得である。つまり通常では海外で支払われるいわれはないのであって、これを給与と認めたことで、今後非居住者や非永住者についての課税がほぼ出来なくなるのでは無いか?
  給与所得についてはこれまでその役務提供地の所得とされてきた。つまり実際に働いた場所の所得であった。その一方で法人役員の場合はその法人の所在地で役務提供が行われていると取り扱われていた(日米租税条約)
  この判決が親会社の役員ならまだ受け入れの余地はあるが、子会社の従業員ならなんとするのか?
  日本の子会社で働いているのに国外親会社の給与として支給されたのである。
  つまり実際に働いた会社ではなく親会社からの給与と認めたのであり、その結果源泉徴収を免れたのである。
それとも、これから源泉徴収について調査を行うのであろうか?
つまり、給与の支払を国外で行いさえすれば源泉徴収を行わなくてよいということになる。
あるいは国外源泉所得と判断したのであろうか?
だとすれば、ストックオプション以外の給料にも国外源泉所得があるといえるのではないか、またほとんどの部分を国外源泉所得と会社が主張し、国外で支払われれば源泉徴収義務はなくなるし、非居住者、非永住者はそのほとんどが課税を免れることとなる。
また、親会社でなく関連であった場合はどうするのか?これによっては関係会社を国外に設立し、その会社から国外の金融機関に給与の振込をさせた場合源泉徴収は行わなくていいのか?
最高裁は現場で一番頻繁に起こりうることを検討していないように思えるが、?
はたまた、従業員に対する会社からの支払はすべて、給与所得となってしまう。