ストックオプションの課税問題の続き

	ストックオプションの課税問題-2

外資系親会社からうけたストックオプション（役員の場合）　投稿者：Ｇ-Ⅲ（ジ－サン）
	いま、外資系親会社から与えられたストックオプションの取り扱いについて国税当局が指導誤りであったとして加算税、延滞税の取り消し処分をしている。当たり前であろう。税に関係しているものからみれば100人が100人あやまりと認める事案である。だれも責任はとらないのであろうか？昨年、雪印は対応のまずさで責任者の更迭があった。来年の今ごろは民事再生法のお世話になっていなければ良いが、国民はそんなに甘くないと思います。外資系内国法人の役員が国外（米国）の親会社からストックオプションを与えられた場合どういう取り扱いになるか考えてみよう。仮に国税当局の主張のように給与と仮定するとどうなるか。だれからの給与となるのか？　所得税法１６１条八－イおよび日米租税条約第１８条（１）から国内の子会社からの給与となる。国内の子会社がストックオプションの行使による利益相当の費用を負担していれば経理的処理は問題は起こらないと思われる。しかし、役員賞与の損金不算入が問題になるであろう。国内子会社がまったく費用負担していなければ、本来子会社が負担すべき費用を親会社が負担してくれたのであるから、雑収入に計上しなければならないと思います。その上で賞与に認定し、役員賞与の損金不算入で所得に加算すべきものとなる。また、海外親会社からの給与だとするなら、勤務実績のない者への給与を認めることとなり、今後に多大な影響を与えることとなる。さらに、国外源泉所得とした場合は、立場が逆の日本法人の海外支店等に勤務しているものの、留守家族手当などが非居住者に対する給与で20％の源泉徴収が必要となるが課税されていない。さらに、内国法人の給与を国外で支払われるいわれは無いので源泉徴収義務が国内の子会社に発生する。源泉徴収については以前の書き込みを見てください。給与所得として、個々の納税者に更正処分をすることは所得税法違反であり、国の徴税ｼｽﾃﾑの根幹を揺るがすものである。所得税法の所得区分を批判するものもあるが、法は法である。裁判官、審判官、国税関係者の冷静な判断を期待したい。
１３年分の申告について
	株価の低迷で多額の利益を手にする者が少なくなっており、混乱は少ないかと思うが、この問題は、外資系企業だけの問題ではない部分も含まれている。特に、内国法人の経営者や経理責任者は法人税の扱いも心しておく必要があります。どこにも書いていないことであるが、後に知らなかったでは済まされないことを念頭に入れておいたほうがよいでしょう。改正された所得税基本通達（２３条～３５条共－６（１）イ　・・・・・・取締役又は使用人がこれを行使した場合　　給与所得とする。とある。つまり賞与と取り扱うわけであり内国法人の役員の場合は役員賞与の損金不算入の検討が必要であることを申し添えておきます。 ①案　　一時所得で他の所得と合算して申告をする ②案　　有価証券の譲渡として申告分離課税する。 ③案　　給与として他の所得と合算して申告をする、その際源泉徴収税額を（グロスアップ）控除する。 ④案　　給与として他の所得と合算して申告をする、１年以内に一時所得として更正請求をする。　（コメント） ①案、②案ともが現在問題となっていて訴訟や不服申し立てで争われている。ただし、税務署長の中には違法と認識しているのかどうかはわからないが更正処分を受けていない者もあるようだ。 ③案は妙案であるが、あくまで源泉徴収が必要な内国法人（外資系子会社含む）からの支払いであることが前提である。税務署も給与と主張するならこの方法で更正して、その上で源泉徴収決定をすれば、所得税法の手続きとしては違法ではないと思います。（当然、源泉徴収票は発行されないであろうから処分の予想はつきません。また、源泉徴収税額相当分だけ収入が増加します。しかし税負担額はさほど増えません） ④案は更正請求をしなければ、税務署の主張にそった申告である。計算された税額を納めておけば加算税、延滞税のリスクは免れるので、お勧めの方法である。 ①②③案はそのまま通過すれば大成功であるが、3年間は認められたかどうかはわかりません。④案は必ず何らかの調査があります。いずれにしろ、意思表示をしなければ可能性はありません。税務署は仮に今訴訟中の人たちが勝訴して減額されたとしても、何もしなかった人のものを取り消すようなことはしません。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　以上